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略奪と創造

「いい職場」のはずなのに、なぜ消耗するのか|構造から見る仕事の違和感

職場編|「誰も悪くないのに、なぜこんなに疲れるのか」

職場には、
いかにも「悪そうな人」がいるとは限らない。

むしろ多くの場合、
みんなそれなりに真面目で、
それなりに気を遣っていて、
それなりに「ちゃんとした大人」だ。

上司は言う。
「無理しなくていいからね」
「体調第一でいこう」
「チームでやろう」

同僚も言う。
「大丈夫?手伝おうか」
「お互い様だよ」

誰も怒鳴らない。
誰も露骨に命令しない。
誰も悪意を見せない。

それなのに、
なぜか、いつも同じ人が疲れている。

「できる人」に仕事が集まっていく

最初は、善意だった。

「この人に頼めば早い」
「あの人は文句言わない」
「任せても安心」

そうやって、
仕事は少しずつ偏っていく。

断らない人。
空気を壊さない人。
「まあ、やりますよ」と言える人。

本人も思っている。
「自分がやった方が早い」
「揉めるよりマシ」
「今は踏ん張りどきだ」

誰かが命令したわけじゃない。
ルールがあるわけでもない。

ただ、
流れがそうなっていっただけだ。

正しさが、逃げ道を塞ぐ

職場には、
便利な言葉がたくさんある。

・チームワーク
・責任感
・プロ意識
・成長の機会

どれも、間違ってはいない。

だが、その言葉は、
ある瞬間から「断れない理由」になる。

「これも経験だから」
「みんな頑張ってるから」
「君ならできると思って」

それを拒否すると、
わがままに見える。
協調性がないように見える。

だから、黙って引き受ける。

正しさは、
人を殴らない。
ただ、立ち去る選択肢を消していく。

評価されない努力が、当たり前になる

頑張っているのに、
評価は変わらない。

成果を出しても、
次は「それが基準」になる。

「あの人はできるから」
「任せて大丈夫だから」

褒められることもある。
感謝されることもある。

でも、
負荷は減らない。

努力は、
見えない前提として
職場に組み込まれていく。

誰も悪くないのに、誰かが削れていく

ここには、
悪役はいない。

上司も、
同僚も、
会社も、
たぶん本気で悪気はない。

それでも、
確実に消耗していく人がいる。

それは、
性格の問題でも、
能力の問題でもない。

「そういう人が削れやすい配置」
が、できあがっているだけだ。

これは、個人の弱さの話ではない

「もっと主張すればいい」
「嫌なら断ればいい」

そう言われることもあるだろう。

でもそれは、
坂道を登っている人に
「平地みたいに歩けばいい」と言うようなものだ。

問題は、
その人の足腰ではない。

地形の話だ。

もし、この文章を読んで
「自分の職場のことだ」と感じたなら。

それは、
あなたが弱いからではない。

そういう構造の中に、
長く立たされていただけかもしれない。

ここまで読んで、
「転職の話じゃないのに、胸が痛い」と感じたなら。

それは、
仕事の問題ではなく、
仕事を取り巻く“構造”の問題かもしれない。

この先では、

  • なぜ努力が回収されなくなるのか
  • なぜ正しい行動ほど抜け出せなくなるのか
  • なぜ場所を変えても同じことが起きるのか

を、誰も責めない形で整理していく。

答えは出さない。
だが、
もう自分を責めなくてよくなる。

神格反転・構造録 第1章「搾取」(完全版)を読む