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正義は誰のために存在するのか|正しさが守られない社会構造を解説

・正しいことを言ったはずなのに、なぜか孤立した。
・間違っていることを正しただけなのに、空気が悪くなった。
・誰かを守ろうとした行動が、いつの間にか「厄介者」扱いに変わっていた。

多くの人が一度は感じたことのある、この違和感。「正義はみんなのためにある」と教わってきたはずなのに、現実では正義を掲げた人ほど、報われない場面があまりにも多い。

ここで浮かぶ疑問はシンプルだ。正義って、いったい誰のために存在しているのか?弱い人のため? 社会のため? それとも――別の何かのためなのか。

正義は「みんなを守るため」のもの

一般的には、正義はこう説明される。「ルールを守るため」「弱者を救うため」「社会を良くするため」。正義は公共の利益であり、善意の集合体であり、みんなが安心して生きるための共通ルールだと。

だから正義を語る人は評価されるべきだし、正しい主張は受け入れられるはずだと、多くの人が信じている。

正義=善、正しさ=報酬につながる、という前提がそこにはある。

この説明は、教科書的で、道徳的で、美しい。だが問題は、現実の社会がこの説明どおりに動いていないことだ。

正義はなぜ持ち主を守らないのか

もし正義が「みんなのため」のものなら、なぜ正義を貫いた人が潰されるのか。なぜ不正を指摘した人が孤立し、声を上げなかった人のほうが安全に生き残るのか。

この現象は、性格の問題でも、伝え方の問題でも説明しきれない。むしろ多くの場合、正義を語った瞬間から、敵が増え始める。

ここで露呈するのが、「正義=守ってくれるもの」というイメージと、「正義=攻撃対象になるもの」という現実のズレだ。

正義は、必ずしも持ち主を守らない。むしろ、構造によっては真っ先に排除される存在になる。この矛盾を解かない限り、「正義は誰のためにあるのか」という問いには答えられない。

視点の転換|「正義」は個人の徳ではなく、構造の中で働く

ここで一度、視点を変える必要がある。正義を「正しい人の内面」や「善意の表明」として捉える限り、なぜそれが潰されるのかは永遠に理解できない。

重要なのは、正義は構造の中で機能する装置だという視点だ。社会や組織は、価値観やルール、力関係の集合体として成り立っている。その中で正義は、「理想」ではなく「作用」として扱われる。

つまり、正義が歓迎されるか、排除されるかは、それが構造を安定させるか、揺るがすかで決まる。正義の内容が正しいかどうかは、実は二次的な問題に過ぎない。

既存の秩序を補強する正義は称賛される。しかし、秩序の矛盾を可視化し、力の配分やルールの前提を揺さぶる正義は「危険」になる。

このとき正義は、「守るべき善」ではなく「排除すべき異物」に変わる。正義が誰のために存在するかは、理念ではなく、構造によって決まっているのだ。

正義が排除されるまでの構造録

ここで、正義が排除されるまでの構造を、簡略化して整理してみよう。まず、組織や社会には必ず「安定した状態」がある。それは必ずしも健全ではないが、多くの人が慣れ、依存し、生活を成り立たせている状態だ。

次に、正義を語る人が現れる。その正義は、不正や歪みを指摘し、「今のままでいいのか?」という問いを投げかける。

すると構造は反応する。問いそのものよりも先に、不安・自己否定・既得権の揺らぎが生じる。この段階で起きるのが、正義の内容から、正義を語る「人」への焦点移動だ。

・「言い方が悪い」
・「空気が読めない」
・「協調性がない」

こうして論点はすり替えられていく。やがて構造は、防衛行動を取る。正義を支持しない沈黙の多数が形成され、正義を語る人は孤立する。ここで重要なのは、誰も「悪意」を持っていないことだ。

人々はただ、自分の居場所を守りたいだけで、構造に従って動いているにすぎない。最終的に、正義は「問題行動」として処理され、構造は一時的な安定を取り戻す。だがこのとき、歪みそのものは何も解決されていない。

このミニ構造録が示しているのは一つだけだ。正義は、誰かを守るために存在するとは限らない。多くの場合、正義は「構造が自らを守るために、排除する対象」として扱われる。

あなたが守ろうとした正義は、誰のためだったか

ここまで読んで、少し胸がざわついた人もいるかもしれない。

・「正しいことを言ったはずなのに、なぜか距離を置かれた」
・「改善しようとしただけなのに、面倒な人扱いされた」

そんな経験が一つでも思い浮かぶなら、それは偶然ではない。

そのとき、あなたが信じていた正義は、本当に“誰かのため”に機能していただろうか。それとも、構造の安定を揺らす存在として扱われただろうか。

正義は、掲げた瞬間に味方を増やすとは限らない。むしろ多くの場合、周囲に「考えたくない問い」を突きつけてしまう。だから人は、正義そのものではなく、それを語る人から目を逸らそうとする。

ここで問いかけたい。あなたはこれまで、正義を語る側だったか。それとも、正義を語る人から距離を取る側だったか。

どちらが善で、どちらが悪という話ではない。ただ、自分がどの位置に立っていたのかを自覚することが、次の行動を選ぶための、最初の一歩になる。

「正義が負ける理由」を知った先で、何を選ぶか

構造録 第6章「正義と滅亡」は、正義を称賛する物語ではない。むしろ、正義がなぜ潰され、なぜ守られず、それでもなぜ消えないのかを徹底的に構造で解き明かす章だ。

もしあなたが、「正しいことが報われない現実」に違和感を抱いてきたなら、それはあなたの感覚が間違っていたわけではない。ただ、世界の仕組みを知らなかっただけかもしれない。

構造録は、正義で勝つ方法を教えるものではない。正義が負ける世界で、それでも“どう立つか”を考えるための記録だ。

滅びると分かっていても、問いを残す行動には意味がある。その理由を、次は本編で確かめてほしい。正義は、勝つために存在するのではない。構造を遅らせ、疑問を残すために存在している。

👉 構造録 第6章「正義と滅亡」を読む