正しいことをしたのに評価されない本当の理由|職場で正論が嫌われる構造
・誰よりも真面目にやった。
・ルールも守ったし、数字も改善した。
・問題点も冷静に指摘したし、組織のためだと思って動いた。
それなのに、評価されない。むしろ空気が悪くなり、距離を置かれ、なぜか自分が扱いづらい存在になっていく。
・「やり方が悪かったのかな」
・「もっと空気を読めばよかった?」
そうやって自分を責め始めた人も多いはずだ。でも、ここに強烈な違和感がある。正しいことをしたはずなのに、なぜ結果が“罰”のように返ってくるのか。
それは個人の性格や努力不足では説明できない。
Contents
評価されないのは「人間関係」のせいという言説
多くの場合、こう説明される。
・正論でも言い方がきつかった
・周囲の感情に配慮できていなかった
・組織はチームワークが大事
・評価されるには「好かれる力」も必要
つまり、「正しさ」より「空気」や「人間関係」が大事だっただけという話だ。
この説明は一見もっともらしい。実際、円滑に立ち回る人が評価される職場も多い。だから、多くの人は、「次は波風を立てないようにしよう」、「余計なことは言わないでおこう」と学習していく。
だが、それでも説明できない現象が残る。
黙っても、正しくても、評価されない
もし問題が「言い方」や「態度」だけなら、丁寧に伝えれば評価されるはずだ。何も言わず成果だけ出せば、報われるはずだ。
しかし現実は違う。
・改善案を出した時点で警戒される
・成果を出すほど仕事が増えるだけ
・正しい指摘をすると“面倒な人”になる
・黙っていても、なぜか評価は上がらない
ここで気づくべきズレがある。評価されない原因が、行動内容に依存していないという点だ。つまりこれは、「正しいことをしたかどうか」、「努力したかどうか」の問題ではない。
評価が起きないのは、その正しさが、すでに組織の構造にとって“不都合”だから。
次のパートで、なぜ正しさが評価されない構造が生まれるのかを、個人論ではなく「構造」として分解していく。
視点の転換|評価されないのは「あなた」ではなく「構造」
ここで視点を切り替える必要がある。評価されない理由を、性格や努力、コミュニケーション能力の問題として扱う限り、真相には辿り着けない。
見るべきなのは「人」ではなく構造だ。
組織は、正しさを評価する装置ではない。組織はまず、安定して回り続けることを最優先する。そこにとっての「善」とは、成果でも正論でもない。摩擦を起こさず、既存の流れを壊さないことだ。
正しい指摘や改善提案は、内容が正しいほど、この安定構造に「揺らぎ」を与える。つまり評価されないのは、あなたの正しさが間違っていたからではない。正しさが、構造にとって危険だったからだ。
この瞬間から、問題は個人の資質ではなく、「正しさがどう扱われる構造なのか」という話に変わる。
正しさが評価されない組織の仕組み
ここで、評価が起きない構造をシンプルに分解する。まず前提として、組織にはすでに、上下関係、役割分担、暗黙のルール、既得権益が存在している。
この構造が成立している限り、組織は「正常運転」だと認識される。そこに、正しい指摘が入ると何が起きるか。
① 正論が構造の欠陥を可視化する
問題点を言語化する行為は、「今まで黙認されてきた歪み」を表に出す。これは改善以前に、責任の所在を浮かび上がらせる。
② 責任が発生する
問題が見える=誰かが説明しなければならない。誰かが修正しなければならない。つまり、余計な仕事とリスクが生まれる。
③ 周囲に不安が伝播する
「この人の言う通りだと、今の立場が危うい」、「自分も巻き込まれるかもしれない」。そうした不安が、正しさそのものに敵意を向け始める。
④ 正しさが“異物”になる
こうして正論は、「ありがたい意見」ではなく、「波風を立てる存在」へと変換される。
結果、構造は自己防衛を始める。評価しない、距離を取る、発言力を削ぐ。
ここで重要なのは、誰も「悪意」で動いていないという点だ。構造が、構造を守るためにそう振る舞っているだけ。
だからこそ、正しいことをしたのに評価されない現象は、どの組織でも、何度でも再生産される。
――次は、この構造の中で「あなたはどこに立たされているのか」を問い直す。
あなたはどこで間違えたのか
ここまで読んで、もし心当たりがあるなら、少し立ち止まって考えてほしい。
あなたが正しいことを言ったとき、それは「改善」だっただろうか。それとも「構造の不都合」を露呈させる行為だっただろうか。あなたは、
・誰の立場を危うくしたのか
・誰に責任を発生させたのか
・どの暗黙のルールを壊そうとしたのか
そこまで意識していただろうか。
多くの場合、評価されなかった人は「内容」で負けたのではない。構造を読む前に、正しさを出してしまっただけだ。
もう一つ、問いを重ねる。もし同じことを、権限を持つ人が多数派の空気を背負って段階的に言っていたら、結果は同じだっただろうか。
この問いに答えが出たとき、あなたは初めて「自分の能力」ではなく、「自分が立たされていた位置」を理解できる。
正義が潰される理由を、感情ではなく構造で知る
ここで扱ったのは、「評価されない人が悪い」という話ではない。正義や正論が、どうやって潰されるのかという構造の話だ。
構造録 第6章「正義と滅亡」では、
・なぜ正しさは勝てないのか
・なぜ成功すると狙われるのか
・それでも行動する意味はあったのか
を、物語と構造の両方で描いている。慰めも、成功法則も書いていない。ただ、負けると分かっていても行動した人たちの軌跡がある。
もしあなたが、「自分は間違っていなかったのかもしれない」そう思い始めているなら、続きは構造録の中にある。
