歴史を学ぶ意味とは|暗記ではなく「今の社会」を読み解くために必要な理由

「歴史を学んで、何の役に立つのか」
学校で年号や人物名を覚えながら、一度はそう思ったことがあるのではないでしょうか。
- 鎌倉幕府が成立した年を覚える。
- 歴代の天皇や将軍の名前を覚える。
- 戦争が始まった年と終わった年を覚える。
もちろん、時系列や基礎用語を知らなければ、歴史を理解することはできません。
しかし、それだけでは、歴史を学んだとは言い切れません。
歴史を学ぶ本当の意味は、過去の出来事を現在の生活へ接続し、同じ構造に巻き込まれないための判断力を得ることにあります。
- 過去に、どのような言葉で人々が熱狂させられたのか。
- 誰が利益を得て、誰が損失を引き受けたのか。
- どのような制度が善意や正義を掲げながら、人々を支配したのか。
その構造を知れば、現代の副業広告、投資話、政治的な宣伝、宗教や思想の教え、会社の経営方針を見る目も変わります。
一方で、学校や国家から与えられる歴史が、そのまま過去の全体像であるとも限りません。正史や教科書には、現在の国家や権力者、過去の勝者にとって都合のよい物語が含まれることがあります。
したがって、歴史を学ぶときには、書かれている事実を覚えるだけでなく、誰がその歴史を書き、誰の声が記録から消えているのかまで考える必要があります。

1. 歴史を学ぶ意味とは、現在の判断を変えること
歴史を学ぶ意味を一言で表すなら、次のようになります。
過去に起きた出来事と、その背後にある構造を知り、現在の選択をより良いものにすること。
- 歴史を学んでも、今日の給料が直接増えるわけではありません。
- 歴史上の人物を百人覚えたからといって、仕事が急にできるようになるわけでもありません。
しかし、歴史は、人間や社会がどのように動くのかを考えるための膨大な事例集です。
アメリカ歴史学協会は、歴史を学ぶ価値として、人や社会の行動を理解すること、現在の社会がどのように成立したかを知ること、証拠や解釈を評価する力を養うことなどを挙げています。現在だけを見ても、社会の制度や価値観がなぜその形になったのかは十分に理解できません。
たとえば、現在の税制度、労働制度、学校教育、結婚観、宗教観、会社組織は、自然界に最初から存在していたものではありません。
過去の人々が作り、争い、変更し、受け継いできたものです。
今ある制度を「昔から当然のもの」と思っている限り、その制度を疑うことはできません。
しかし、成立した過程を知れば、制度は人間が作ったものにすぎず、必要なら変えられることが分かります。歴史を学ぶとは、過去を眺めることではありません。

現在を絶対視しないための訓練なのです。
2.用語や年号を暗記するだけでは歴史を学んだことにならない
歴史を理解するためには、最低限の知識が必要です。誰が、いつ、どこで、何をしたのかを知らなければ、出来事同士の関係を考えられません。
その意味で、年号や人名を覚えること自体が無意味なのではありません。
問題は、暗記したところで学習が終わることです。
たとえば、1929年に世界恐慌が始まったと覚えたとします。しかし、本当に重要なのは、年号だけではありません。
- なぜ株式市場が過熱したのか
- なぜ多くの人が投資へ参加したのか
- 金融機関や企業はどのように行動したのか
- 不況によって誰が仕事や財産を失ったのか
- 政治や社会運動へどのような影響を与えたのか
こうした因果関係を考えて初めて、現代の投資熱や金融危機を見るための知識になります。

日本の学習指導要領も、制度上は歴史を単なる暗記科目とは位置づけていません。資料を活用し、出来事の意味や特色を多面的・多角的に考察し、歴史上の課題を追究することが目標として掲げられています。
ただし、学校でその理想が十分に実現されるとは限りません。
試験で問われるのが用語や年代であれば、生徒は暗記を優先します。授業時間に限りがあれば、一つの出来事について複数の立場を比較する余裕もなくなります。
結果として、歴史が「過去の答えを覚える科目」に見えてしまいます。
しかし、本来の歴史学は、用意された答えを覚える学問ではありません。史料を読み、異なる説明を比べ、自分なりに最も妥当な説明を組み立てる学問です。
歴史教育研究では、史料の作成者を確認すること、時代背景を考えること、複数資料を照合することなどが、歴史的思考の基礎として重視されています。

3.歴史を学ぶと、今の社会がなぜこの形なのかが見える
私たちは、現在の社会しか直接経験できません。そのため、今ある制度や価値観を自然なものだと思い込みやすくなります。
しかし、社会を歴史的に見ると、当たり前だと思っていたものの多くが、特定の時代に作られたことが分かります。
たとえば、会社で一日8時間働くことも、週休二日制も、労働者の権利も、最初から存在していたわけではありません。長時間労働や危険な職場環境に対する労働運動、政治運動、法改正の積み重ねによって成立しました。
女性が選挙に参加できることも、子どもが学校へ通うことも、身分によって職業が固定されないことも、人類史全体から見れば新しい制度です。
歴史を知らなければ、それらは権力者から自然に与えられたものに見えます。歴史を知れば、多くの権利が、名も残らない人々の抵抗、交渉、犠牲によって獲得されたことが分かります。
一方で、現在の問題も、突然発生したわけではありません。低賃金、格差、差別、戦争、金融危機、政治不信などには、それぞれ長い成立過程があります。
目の前の出来事だけを見ていると、問題の原因を特定の個人や一つの政党だけに求めてしまいます。しかし、歴史をたどれば、法律、産業構造、教育、金融制度、国際関係など、複数の要因が積み重なっていることが見えてきます。
歴史的思考では、変化、因果関係、文脈、複雑性、偶然性を考えることが重要だとされています。社会は一つの原因だけで動くとは限らず、別の選択がなされていれば結果が変わった可能性もあります。

4.正史を疑うことも、歴史を学ぶ意味の一つ
歴史を学ぶとき、教科書や正史に書かれた内容をそのまま受け入れてはいけません。
正史とは、国家や王朝によって編纂された、あるいは正式な歴史書として認められた記録です。
正史の「正」は、必ずしも「絶対に正しい」という意味ではありません。「正式」「正統」「公認」という意味です。正史には、公文書や制度記録など重要な情報が含まれています。
一方で、正史を編纂するのは、その時代に権力を持つ国家や王朝です。
- 誰を正統な統治者と呼ぶのか。
- 誰を逆賊や反乱者と呼ぶのか。
- どの戦争を侵略と呼び、どの戦争を解放と呼ぶのか。

こうした判断には、編纂した側の立場が入り込みます。
歴史上の勝者は、戦場で勝つだけではありません。行政、学校、裁判所、新聞、放送、博物館、公文書館などを管理し、自分たちの説明を公式の記録として残せます。
敗者や庶民が文字を残せなければ、勝者の説明だけが後世へ伝えられます。このため、神格反転では、正史を全面的に否定するのではなく、次のように問い直します。
- 誰がこの歴史を編纂したのか
- 誰の支配を正当化しているのか
- 誰が英雄として描かれているのか
- 誰が悪人や怪物として描かれているのか
- 誰の声が最初から記録されていないのか
過去に起きた出来事、現在まで残された記録、記録をもとに作られた歴史叙述は、それぞれ別のものです。
正史の意味と限界、勝者によって歴史が作られる構造については、「正史とは何か|意味・野史との違いと「正しい歴史」とは限らない理由」でも詳しく扱っています。
ただし、正史を疑うからといって、敗者の主張を無条件に信じてよいわけではありません。敗者も、自分を正当化するために事実を隠したり、誇張したりすることがあります。
必要なのは、勝者と敗者を入れ替えることではなく、双方の説明を同じ基準で検証することです。

5.ゴールドラッシュから学ぶ「稼げる話」の裏側
歴史を生活へ生かす分かりやすい例が、ゴールドラッシュです。
1848年にカリフォルニアで金が発見されると、多くの人が一攫千金を求めて移動しました。金を掘り当てて財産を築いた人も実際に存在します。
しかし、後世に残る「夢を求めて成功した開拓者」という物語だけを見ていると、採掘現場の現実を見落とします。
アメリカ議会図書館に残る採掘者の手紙や日記には、過酷な採掘作業、故郷への思い、厳しい移動、鉱山町での生活などが記録されています。
また、採掘者が押し寄せた地域には、道具、食料、酒、宿泊施設などを提供する商人や事業者が集まりました。国立公園局の資料でも、鉱山町が採掘者への供給拠点となり、商店、宿、酒場などが成立した様子が説明されています。
ここから得られる教訓は、「金を掘った人は全員失敗した」「商人だけが必ず儲かった」という単純な話ではありません。
重要なのは、熱狂が起きたときに、異なる立場の人がいることです。
- 成功例を宣伝する人
- 夢を見て参加する人
- 道具や情報を販売する人
- 土地や施設を所有する人
- 途中で撤退する人
- 労働や危険だけを引き受ける人
「これから大きく稼げる」と宣伝される市場では、実際にその事業で成功する人だけでなく、参加者へ商品、教材、会員権、道具を販売する人が利益を得ることがあります。
現代の副業広告を見るときも、同じ問いが使えます。
この人は、その副業そのもので稼いでいるのか。
それとも、副業で稼ぐ方法を販売して稼いでいるのか。
歴史が生活に役立つとは、このような判断ができることです。

6.マルチ商法や投資詐欺の歴史を現在へ生かす
現代でも、「簡単に稼げる」「誰でも自由になれる」「今始めなければ遅い」という言葉で、人を集める事業があります。
そのすべてが詐欺というわけではありません。しかし、過去の事例を知っていれば、成功例だけを見て参加する危険性に気づけます。
米国連邦取引委員会が複数のマルチレベルマーケティング企業の公開資料を調べたところ、多くの参加者の収入は非常に少なく、費用を考慮すれば損失になる場合もありました。調査対象では、大半の参加者が年間1000ドル以下しか受け取っていない事例や、多くの参加者が収入を得ていない事例が確認されています。
投資詐欺でも、使われる言葉には共通点があります。
- 高い利益が保証される
- ほとんど危険がない
- 今すぐ決断しなければ機会を失う
- 特別な人だけが知る情報である
- 有名人や専門家も参加している
- 実績を確認する必要はない
米国証券取引委員会は、高収益と低リスクを同時にうたう話、投資を急がせる話、SNSだけを根拠にした投資勧誘などを、詐欺を疑うべき警告信号として挙げています。
歴史を学ぶ意味は、詐欺事件の名前を覚えることではありません。
詐欺が成立するときの心理と構造を理解することです。
人は、必ずしも愚かだから騙されるのではありません。生活への不安、仕事への不満、成功したいという願い、周囲に遅れたくないという焦りを利用されます。
そのため、歴史から学ぶべきなのは、単に「欲を出すな」ではありません。
- 誰が利益を得る仕組みなのか
- 失敗者の数が公開されているか
- 収益は商品やサービスの価値から生まれるのか
- 新規参加者の資金へ依存していないか
- 成功例だけでなく中央値や費用も示されているか
- 退出した人の声は確認できるか

こうした問いを持てるようになることが、歴史を学ぶ価値です。
7.歴史が生き方に反映されてこそ価値がある
歴史を学んだ結果、どのような生活を選ぶかは人によって異なります。
しかし、過去の熱狂や失敗を見ることで、少なくとも「派手な宣伝ほど慎重に見る」という姿勢は得られます。
一攫千金を狙う人のすべてが失敗するわけではありません。
挑戦によって大きな成果を得る人もいます。一方で、成功者だけが目立ち、失敗した大多数が記録から消える現象もあります。
成功者は本を書き、講演を行い、SNSで発信します。借金を抱えた人、途中で諦めた人、時間を失った人は、表舞台から消えていきます。
そのため、私たちは成功例を実際より多く見ているように感じます。

歴史を生活へ生かすなら、派手な成功談を否定するだけでなく、自分が引き受けられる損失を考える必要があります。
- 失ってよい金額はいくらか
- 失ってよい時間はどれくらいか
- 失敗しても生活を維持できるか
- 地道な収入源を残しているか
- 宣伝者と自分では条件が違わないか
過去の事例を調べた結果、「堅実な仕事を続けながら、小さく試す」という結論に至ることもあります。
それは、夢を諦めることではありません。熱狂に飲み込まれず、自分の人生を守りながら挑戦するということです。
歴史を学ぶ意味は、過去を批評して賢くなった気分になることではありません。今日のお金の使い方、仕事の選び方、人との付き合い方を変えることにあります。

8.思想や宗教の教えも、成立した背景から読み直す
歴史を学ぶ対象は、戦争や政治だけではありません。宗教、哲学、道徳、人生訓にも歴史があります。
私たちが「正しい教え」として受け取っている言葉も、特定の時代、社会、権力関係の中で成立しました。
たとえば、新約聖書には「敵を愛し、迫害する者のために祈れ」という教えがあります。この教えは、憎悪や報復の連鎖を断つ倫理として語られます。
一方で、「敵を愛せ」を、危害を与える相手から離れてはいけない、相手の要求を受け入れ続けなければならない、被害を我慢しなければならないと考えると、自分を消耗させる可能性があります。
相手を憎まないことと、相手から距離を取らないことは同じではありません。復讐しないことと、被害を放置することも同じではありません。
危害を与える相手に対しては、安全を確保し、距離を取り、必要に応じて法的・制度的な対応を求めることができます。
欲望についても同じです。
宗教や思想の中には、欲望を苦しみの原因として抑制する考えがあります。確かに、際限のない物欲、支配欲、依存は、人を苦しめることがあります。

しかし、すべての欲望を悪とすれば、自分が何を望んでいるのか分からなくなります。
- よりよい仕事をしたい。
- 自由な時間がほしい。
- 愛されたい。
- 作品を作りたい。
- 不当な扱いから逃れたい。
こうした欲求まで否定すれば、自分らしい人生を選べません。歴史を学ぶ意味は、古い教えを一律に否定することではありません。
その教えが、
- どのような社会で生まれたのか
- 誰に向けて語られたのか
- 本来どのような問題を解決しようとしたのか
- 後世の権力者にどのように利用されたのか
- 現代の自分にそのまま適用してよいのか
を考えることです。
一般的に正しいとされる教えも、人の行動を縛る道具になることがあります。

9.歴史は未来を当てる道具ではなく、危険な型を知る道具
「歴史は繰り返す」と言われます。
しかし、まったく同じ出来事が、同じ条件で繰り返されるわけではありません。
技術、人口、法律、国際関係、文化が違えば、結果も変わります。過去の出来事を現代へ機械的に当てはめると、判断を誤ります。
歴史を学ぶ意味は、未来を予言することではありません。繰り返し現れやすい人間行動や社会構造を知ることです。
たとえば、次のような型があります。
- 恐怖を強調して権力を集中させる
- 外部の敵を作って内部の不満をそらす
- 成功例だけを見せて参加者を集める
- 複雑な問題を一人の悪人だけで説明する
- 改革を掲げながら権限を拡大する
- 被害者の声を記録せず、公式発表だけを残す
- 正義や平和を掲げながら、別の利益を追求する
この型を知っていれば、現代の出来事を見たときに立ち止まれます。
もちろん、「昔と似ているから、必ず同じ結末になる」と断定してはいけません。歴史的思考には、文脈、複雑性、偶然性を考えることも含まれます。似た出来事でも、制度や人々の選択によって違う結果になり得ます。
歴史が与えるのは、確定した未来ではありません。見落としてはいけない危険信号です。

10.歴史を現実の生活へ生かす7つの学び方
歴史を暗記で終わらせず、生活へつなげるためには、読み方を変える必要があります。
1.出来事ではなく構造を見る
「何が起きたか」だけでなく、誰が利益を得て、誰が負担したのかを考えます。
戦争なら勝敗だけでなく、兵士、住民、企業、政治家、金融機関などの立場を分けます。
2.成功者だけでなく失敗者を探す
成功者は記録を残しやすく、失敗者は消えやすい傾向があります。
投資、起業、移住、戦争、政策では、成功例だけでなく、撤退した人、損失を負った人、声を上げられなかった人を探します。
3.正史と非公式記録を比べる
政府の文書、会社の報告書、教科書だけでなく、日記、手紙、裁判記録、地域史、外国側の資料、当事者の証言を確認します。
それにより表の解釈とは違った見方を得られます。もちろん、非公式な資料も無条件には信じるのではなく、検証が必要です。
4.事実・解釈・評価を分ける
「ある法律が成立した」は事実です。
「国民を守るために必要だった」は解釈です。
「すばらしい改革だった」は評価です。
この三つを分けるだけで、宣伝を事実と誤認しにくくなります。
5.現代の似た構造を探す
過去の事件を学んだら、現在の社会に似た仕組みがないか考えます。ゴールドラッシュなら副業市場、宗教戦争なら現代の集団対立、植民地統治なら企業による資源や労働の支配などへ接続できます。
6.自分に不都合な資料も読む
自分の考えを支持する資料だけを集めると、最初に決めた結論を確認する作業になります。
自分が支持する人物や思想への批判、自分が嫌う側の記録も確認します。
7.最後に「自分はどう行動するか」を決める
歴史を読んだ後には、生活上の判断へ変換します。
- 投資を急がない
- 収入源を一つに依存しない
- 組織の公式発表だけで判断しない
- 危害を与える人から距離を取る
- 政策の利益と負担を分けて見る
- 成功談だけで進路を決めない
ここまで行って初めて、歴史は実生活の知恵になります。

11.歴史を反転して読むことと陰謀論は違う
正史、教科書、権力者の説明を疑うことは重要です。しかし、何でも裏があると考え、証拠がなくても権力者の陰謀だと決めつければ、歴史を学ぶ意味を失います。
反転して読むことは、最初から正反対の結論を出すことではありません。
- 「英雄とされた人物は本当に英雄だったのか」と問う。
- 「怪物とされた側には事情がなかったのか」と問う。
- 「改革によって利益を得たのは誰か」と問う。
この問いを立てた後、証拠を調べます。陰謀論では、反対証拠が出ても「それも隠蔽工作だ」と処理されます。
反転した歴史研究では、自分の考えに不利な証拠が出れば、結論を修正します。違いを整理すると、次のようになります。
| 反転して読む姿勢 | 陰謀論的な姿勢 |
|---|---|
| 勝者・敗者の双方を疑う | 一方だけを絶対悪と決める |
| 一次資料を照合する | 証拠がないことを隠蔽の証拠とする |
| 結論を修正できる | 結論が先に決まっている |
| 複数の原因を考える | すべてを一つの黒幕で説明する |
| 分からないことは保留する | 不明点を想像で埋める |
正史を疑う姿勢を保ちながら、事実に対して誠実であることが必要です。
陰謀論者は「フラットアース」など科学的に明らかに間違っているものを真実と主張します。必ず事実を確認すること。それで黒と分かれば、それは陰謀論ではありません。事実です。

12.歴史を学ぶ意味は、過去を現在へ接続すること
歴史を学ぶ意味は、年号や用語をたくさん覚えることではありません。
過去の出来事を使って、現在の社会と自分の生活を読み解くことです。
ゴールドラッシュを学ぶなら、金が発見された年だけでなく、一攫千金の熱狂によって誰が集まり、誰が危険を引き受け、誰が道具や情報を売ったのかを見る。
- 投資詐欺を学ぶなら、事件名だけでなく、「高収益」「低リスク」「今だけ」という言葉が人を動かす仕組みを見る。
- 宗教や思想を学ぶなら、教えを暗記するのではなく、どのような時代に生まれ、誰にどのように利用されたのかを見る。
- 政治史を学ぶなら、勝者の名前だけでなく、制度の費用を負担した庶民や、記録から消えた敗者を見る。
そして、現在の自分の選択へ生かします。
- 派手な儲け話にすぐ乗らない
- 成功例だけで判断しない
- 権力者の公式説明をうのみにしない
- 相手を愛せという言葉のために被害を我慢しない
- 欲望をすべて悪として、自分の望みを捨てない
- 正しいと教えられた制度の成立過程を調べる
歴史とは、過去の完成した物語ではありません。現在の私たちが、残された証拠を使って過去を理解し直す営みです。
だからこそ、歴史を学ぶ人には、与えられた答えを覚える力よりも、問いを立てる力が求められます。

13.見えない構造を読み解きたいあなたへ|神格反転の書
私たちの周囲には、「昔から正しい」「専門家が言っている」「国が決めた」「みんなが信じている」という理由だけで、疑われずに残っている考え方があります。
しかし、その常識にも歴史があります。誰かが作り、誰かが広め、誰かが利益を得た結果、常識として定着した可能性があります。
神格反転プロジェクトでは、歴史、宗教、政治、経済、教育、労働、人間関係などを、一般的な説明とは反対側から読み直しています。
- 誰が利益を得ているのか。
- 誰が損失を負っているのか。
- 誰の説明が公式の記録として残るのか。
誰の声が最初から存在しなかったことにされているのか。
それらを見抜くための入口として、無料の『神格反転の書』を公開しています。歴史を暗記ではなく、現実を生きるための道具として使いたい方は、受け取ってみてください。
説明文よりも物語で見えない構造を読み解きたい方は物語も用意しています。社会の構造、奪う者と創る者、そして真実を取り戻す物語を、文章やイラストの形で展開しています。
こちらは有料ではありますが、1話から3話のみ無料でお読み頂くことが可能です。もしも説明文ではなく、物語の世界を探検したいという場合は、物語録をチェックしてみてください。
過去を学ぶ目的は、過去に住むことではありません。現在を疑い、自分の未来を自分で選ぶためです。

14.参考文献・一次資料
歴史を学ぶ意味・歴史的思考
- Stearns, P. N.(1998)
“Why Study History?”
歴史が人間と社会の行動、変化、現在の制度を理解するために必要であり、証拠を評価し、異なる解釈を検討する能力の育成に役立つことを確認するために参照。
https://www.historians.org/resource/why-study-history-1998/ - McNeill, W. H.(1985)
“Why Study History?”
歴史を批判的に構成され、継続的に修正される集合的記憶として捉え、公共の判断、社会参加、個人の生き方に役立つことを確認するために参照。
https://www.historians.org/resource/why-study-history/ - Andrews, T. & Burke, F.(2007)
“What Does It Mean to Think Historically?”
変化、因果関係、文脈、複雑性、偶然性という、歴史的思考を構成する基本概念を確認するために参照。
https://www.historians.org/perspectives-article/what-does-it-mean-to-think-historically-january-2007/ - Digital Inquiry Group
“Historical Thinking Chart”
史料の作成者や目的を確認する出所分析、時代背景を考える文脈化、複数資料の照合、文章の精読という歴史資料の読み方を確認するために参照。
https://www.inquirygroup.org/history-lessons/historical-thinking-chart - 文部科学省(2018/2021年一部改訂)
『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 地理歴史編』
資料を活用し、歴史上の出来事の意味、因果関係、特色を多面的・多角的に考察し、現代社会の課題について判断するという歴史教育の目標を確認するために参照。
https://www.mext.go.jp/content/20220802-mxt_kyoiku02-100002620_03.pdf
カリフォルニア・ゴールドラッシュと鉱山町
- Library of Congress
California Gold Rush Collection, 1849–1900.
カリフォルニア・ゴールドラッシュへ参加した採掘者らの手紙、旅行日記、採掘方法、鉱山生活の苦労、家族と離れて暮らす寂しさなどを確認するために参照。
https://www.loc.gov/item/mm2011085598/ - U.S. National Park Service
Where’s the Whiskey? Where’s the Town? The Story of Whiskeytown, CA.
ゴールドラッシュによって鉱山町が成立し、採掘者や旅行者を対象とする商店、宿泊施設、酒場、厩舎、物資の供給拠点が発展した過程を確認するために参照。
https://www.nps.gov/whis/learn/historyculture/upload/Where-s-the-Whiskey-Where-s-the-Town.pdf
マルチ商法・投資詐欺と利益の実態
- Federal Trade Commission(2024)
Multi-Level Marketing Income Disclosure Statements.
複数のマルチレベルマーケティング企業が公表した収入開示資料を分析し、多くの参加者が報酬を得ていないことや、大多数の年間収入が少額にとどまること、表示額に経費が反映されていない問題を確認するために参照。
https://www.ftc.gov/system/files/ftc_gov/pdf/2024-08-19-mlm-ids-staff-report.pdf - U.S. Securities and Exchange Commission(2009)
“How to Avoid Fraud”
高収益と低リスクを同時に保証する話、判断を急がせる勧誘、出所の不明な投資情報など、投資詐欺を見分ける際の警告信号を確認するために参照。
https://www.sec.gov/about/reports-publications/investorpubsavoidfraud
宗教的教えと歴史的解釈
- 『新約聖書』
「マタイによる福音書」第5章44節
「敵を愛し、迫害する者のために祈る」という教えの原文上の位置づけを確認し、憎悪や報復を抑える倫理と、危害を与える相手に耐え続けることとの違いを検討するために参照。
https://www.biblegateway.com/verse/ja/%E3%83%9E%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%81%AE%E7%A6%8F%E9%9F%B3%E6%9B%B8%205%3A44








































